気付けばもうアメリカでの留学生活も終わりかけ.友達の話ではそろそろ留学生科から「留学体験記を書いてくれ」,というメールが届くころだ.なので,ついでではないがアメリカ留学のまとめを初Postにしようかと.
留学体験記を書こうと思って,参考がてらネットで
「留学 体験記 アメリカ」と検索すると当然山ほどでてきた.
「世界中の人と話し,異なる文化に触れ,価値観が変わった.英語も話せるようになるし留学は楽しいです.みんな是非しましょう」
的な留学体験記が多かったかな.僕も留学する前にいくつかこういうの読んだし,おそらく大抵の人が予想し,実際に体験する留学らしい留学かと思う.そして,僕が経験したアメリカじゃなきゃできなかったことも,要約するとこんな感じかなと思い,具体的に楽しかったことを振り返ってみる.
ん…楽しかった経験…?
リサーチアシスタントの職を探して何人もの教授と交渉しては断られ,
頼み込んでまで受けさせてもらった大学院の授業の課題に追われて毎日毎日夜遅くまで勉強し,
夏に働ける場所を探し世界中の教授と企業にメールを送り,
好きだったから始めた飛行機のライセンス取得も怒られてばっかで,
大半の時間が,ただ忙しく,辛い時間ばかりで楽しかった思い出は意外と少ないような気も…? 先日,寮から引っ越すときに回収した大量のRedBullが色々と物語ってるような(笑)
渡米直前の僕は自信にあふれていた.サークルの活動で日本一になった直後だったし,TOEIC930にTOEFL96で英語力もまわりに敵なし状態.おまけに航空宇宙工学の最高峰の大学に留学ってなわけで,ノリノリのウハウハだったわけだ.
ただまぁ,自分が思っていたほどには英語も使えない.授業,宿題が重い.研究させてくれる場所は見つからない,教授に認めてもらえない.インターンは見つからない.ムキムキの体中にあふれていた自信は,鍛え抜かれた筋肉と一緒にどっかにいっちゃったんだな.
それでも,寝る間も惜しんで,涙を流して戦った甲斐もあり,研究には入れてもらえたし,強力な推薦状ももらった.いい成績が取りにくいランキング全米トップ10に入っているPurdueで9割Aで埋めたし,成績優秀者で表彰もされた.ドイツでのサマーリサーチも決った.英語がそうとう上達した自信もある.たった9ヶ月の海外経験しかしてないことを考えると相当話せる方だろう.飛行機のライセンスももうすぐ取り終わる.僕は今,再びノリノリのウハウハだ.
まぁ僕が調子に乗り易いのは自覚してる.それを埋め合わせるようにヘコむ要素がタイミングよく降ってくる.ここに来たばかりの頃,アメリカが僕の自信を奪っていったように,多分次はドイツでボコボコにされるんだろう.まぁそれはそれでよしとしよう.少し余分に膨らんだ自信はいい感じに縮むんだろう.
得たものは多い.プログラミング,CAD,有限要素法ソフト,ウェブデザインなどの知識,研究の進め方や飛行機の設計,航法,その実践.英語,ドイツ語.世界中から来た友人達.ただ,この留学を通して得たものの中で,一番素晴らしいものは「失敗したこと」だろう.フルボッコにされて立ち上がった経験が,多分この先の僕の人生には重要なんだろう.どんな資格や業績や知識よりも,僕にとって価値のあるものになるだろう.
留学生活を振り返るとこんな感じだろうか.来た価値はあった.そして,よくわからないが,なんだかんだ「楽しかった」という気分である.辛いことの方が圧倒的に多かったのに不思議なものだ.多分ドMなんだろうなぁ.
もうすぐお別れである.インディアナは今夜も星がきれいだ.
Pingback: 寄生的情熱 |