中村拓磨 のブログ

へぼパイロット奮闘記.いいね!いい人生だよ!

STeLA, 君が教えてくれたこと

ずっとブログを更新したいと思っていたが,大分放置してしまった.最後の更新はまだドイツにいる時だったので3ヶ月以上前の話だ.まぁ帰国直後から研究で何回も浅間山に行ったり,大学院の申請などに追われたりと色々と忙しいので仕方がない.一段落したらこのあたりのことについても書きたいと思う.

まぁ,そのあたりは置いておいて,今回はずっと書きたいと思っていたSTeLAというリーダーシップフォーラムついて書こうと思う.

帰国直後の8月10日から17日の期間,STeLAが開催するリーダーシップフォーラムに参加した.一週間,東京の施設で缶詰になり世界中から来た学生達と交流し,優秀な先輩達,世界のリーダー達の話を聞くことができた.今回はこのSTeLAとは何だ?ということと,僕がSTeLAを通して得たものについて書くことにしよう.

ステラ(Science and Technology Leadership Association 変換が面倒なので以後STeLA=ステラ)とはアメリカ,ヨーロッパ,中国そして日本の学生が1週間ほど合宿施設のような所に泊まり,講義を受けたり一緒に課題に取り組んだりするリーダシップフォーラムだ.今年の会場は国立オリンピックセンター(ウェブサイトはこちら)だった.ステラについて説明してあるリンクも貼って置くので興味のある人は是非見て欲しい.(こちら)残念ながら女性の名前Stellaではない.アメリカにいた時にStellaという女性に恋に落ちたが,もちろん関係ない.

ステラはアメリカのマサチューセッツ工科大学,スタンフォード大学,ハーバード大学などの学生が中心になって立ち上げた(らしい)学生団体で,世界中のトップスクールから学生達が参加する.毎年開催する国が違い,去年はカルフォルニアで今年は東京だった.来年はオランダのDelftという街になるらしい.

ステラの分かり易い目標としては「今後,世界を率いて行く学生達を一カ所に集めて仲良くさせて,将来なにかやりたいときに行動に移し易いようなコネクションをつくる」と言った感じだと理解している.僕もそんな感じのことを期待しながら申し込み,選考の面接でも同じ様なことを言ったが,実際に学んだのは少し違うものだった.これは後半で書くとしよう.

今回のステラのテーマは自然災害だった.自然災害を通して世界が学んだこと,過去の事例では,どのようにしてリーダシップが発揮さえたかなどの講義を聴いた.特に,今回は開催が日本で,東北で地震もあったので,その時リーダはどうしてたか?という切り口が多かった.Googleの社員やアメリカ大使などが講演に来た.また,実際に災害に直面したようなシミュレーションでゲームを行ったり,その結果に関して議論を行ったり.こうして文章にしてしまうと陳腐に聞こえるが,優秀な学生達が1年かけて準備してきてくれたものだけあって,本当に質の高いものだったと思う.MITやハーバードなどのビジネススクールで教えられてたりするモデルなども使って,かなり本格的だった.しょせん1週間だし,中学生のころのリーダシップキャンプと対して変わんないだろ?っと思ってたが,どうもすみませんでした,なめてました,って感じだった.

フォーラムの後半はグループプロジェクトだった.地震で倒壊した建物の中を遠隔操作のロボットで調査し,仕事をこなすという設定.建物の中は直接みてはダメでカメラ越しにしか分からないというものだった.原発の中の調査など,実際に人が行くことのできない場所の調査にはこんなことが必要なんだぜ?っていうことを学ばせたかったのだと思ってる.当然,メインフォーカスはロボット工学ではないので,目の代わりになるカメラとか,サーボモーターとか,ロボットとの通信とかは大体そろった状態でスタートした.が,たった3日のプロジェクトにしては少々重すぎな気もした.まぁ,そんな強烈な課題だったからこそ,みんな多くのものを得られたのだろう.工学部も理学部も薬学部も文系もアメリカ人もオランダ人も中国人もいる,超混合チームでロボット作ることは,ロボットの研究をしている僕も,もう2度と経験しないだろう.ストレスたまりまくる時間もあったが,中学校のころのロボコンみたいで楽しかった.下の写真が,僕らのグループで,真ん中に置いてあるのが今回作ったロボット.

また,東北地震で津波の被害にあった女川地区へ訪問した.テーマに関連する施設として,津波の研究をしている神奈川県の港湾空港技術研究所への見学も行った.最後のプレゼンテーションは東京臨海広域防災公園という施設だった.ここで,自分たちの作ったロボットについてのプレゼンを行い,実際にロボットをフィールドで動かしてデモをするといったものだった.僕がロボットを操縦した.会場の雰囲気は完全にロボコンでしたね.最高に楽しかった.

以上が概要だろうか.もしステラに興味がある人がいれば是非連絡してほしい.楽しんで色々教えられる気がする.

あんまり強い関心があって申し込んだ訳じゃなくて,今年のステラは8月の2週目か〜,ちょうど帰国するあたりだし試しに申し込んでみるか!ぐらいの感じで,出願に関して全然準備してたわけじゃなかったんだな.本当は日本支部から申し込むつもりだったのに,最後申し込み書類を書いてる途中で寝てしまい,日本時間の締め切りを過ぎてしまい,急きょアメリカ支部から申し込むことに.このあたりの適当さは,念入りに念入りに準備を進めてくれていたスタッフさんに申し訳ないほどだ.僕は日本人で,留学中ってことだったので日本支部からでもアメリカ支部からでも出せた.

得られたモノには満足している.留学してても,自然災害や,それに対するそれぞれの国の対応なんてものは,ほとんど会話に上がることもなかったから「へぇ〜中国ってそんな感じか,オランダは…アメリカは…フムフム」などなど.問題を議論して,意見を交換して,アイディアを練りだして,問題解決に努める,っといった機会はただの留学じゃなかなかないから,これだけでも行った価値はあったと思う.こういう場面を乗り切るcross-cultural skillってのは,ただの言語能力とは全く違うからね.あとリーダシップっていうものの考え方が随分と変わったと思う.「いや,こんなテキトーな僕はリーダータイプじゃないよなぁ?」といったスタンスだったが,自分のやりたいことって,世界に影響与えるレベルのことなわけで,そんな人間になりたいのにリーダーじゃないってのは,多少矛盾してるのかもしれん.別に社長や,大統領だけがリーダーなわけじゃないんだなぁ,と色々考えさせられた.

それ以上に,個人的にステラは,僕が大学院留学を決心するきっかけの一つになったと思ってる.

最近,大学院出願や奨学金の申請で,自分がなぜ留学したいのか,というものを誰かに説明しなければならない場面がよくある.今僕が行っている研究分野であるUAV, 特にマルチローターコプターは,海外で先進的な研究が行われていて,日本は遅れている.だから海外に行く必要がある!….本当だろうか?

もちろん嘘ではない.遅れているのも事実だ.おまけに,UAVの研究は面白いし,ロボットが好きで,飛ぶものが好きな僕には最高のテーマだ.UAVが今後世界で重要な役割を担っていくと信じてはいるし,火山の観察とか原発内部の撮影とかで,日本に特に必要な技術な気もする.ただ,日本でも研究できると思ってる.一年アメリカで過ごした今は,アメリカがどんな点でも最高の環境だなんて主張するつもりは無い.アメリカに行く利点は山ほどあるが,日本に残る利点だって山ほどある.確かに東大よりもランクの高い大学はたくさんあるし,僕の出願する大学院は全部東大よりランク的に上なのだが,ランクの高いとこへ行けば良いものが学べて,いい研究ができるという単純な主張をするつもりはない.今の研究室の環境には満足してるし,先生も先輩もホントによく面倒見てくれて,別にいい研究環境を求めることが海外に出て行く理由じゃないんだろうな,僕の場合.

おそらく僕は,知らないどっかに行くのが好きで,知らない誰かと話すのが好きで,知らないことを知るのが好きなんだろう.論理的な必要性から留学するわけじゃない.

世界で闘えるエンジニアになるには英語が必要だ,だから英語の勉強をしている.狭い価値観に満足せずに,無限の可能性に挑戦するには,アメリカのような国際的な環境で学ぶ必要がある.といった理由で留学し,一生懸命勉強している人たちがいる.立派なことだ.ほんとスゲーと思う.僕は,彼らが一体どんな精神力でモチベーションを維持しているのか知らない.

昔の僕の動機は,割とこんな感じだったのだが,論理的に必要性を説得されたところで,あんまり持続可能なモチベーションにならなかったんだな.結局自分が夢中になるものじゃないと長続きしない.僕があきっぽいのもあるが..

アメリカ,ドイツを渡って帰って来た僕は少し迷っていた.アメリカに帰りたい,という強い気持ちはどこからともなく湧いてくる.でも,渡米前に持っていた無敵の夢の国アメリカは,僕が思っていたような国じゃなかった.大したことねぇんだろ?っと思っていたドイツやスイスの大学も意外とイケてることに気付いてしまった.何か,アメリカに帰る必要性はどこにあるんだろうな,って気分だった.自分が思い描いていた最高の世界は,どろどろに汚くて,飢えてて,貧しくて,アメリカンドリームってなんなんだよ,と.迷いというよりは悲しいの方が正しいかもしれない.

結局,僕は飛行機の操縦が好きで,金髪巨乳のお姉さんが好きで,旅をするのが好きで,とにかくかっちょいいことをやりたいわけだ.やりたいことヤりたいから留学するってのが,ぶっちゃけ本音なのだろう.この湧き出てくる「アメリカに帰りたい」という気持ちは,理屈からくるんじゃなくて,僕の心がそう叫んでるんだろう.だから,アメリカに帰ろう,まぁそれでいいか.

ステラで会った学生はこんな感じだった.なんか伸び伸びしてんな〜と.努力を惜しむことはしないが,本人のやりたいことを,やりたい分だけやってる感じが,とても新鮮だった.特に同じグループにいたオランダの女の子がそんな感じだった.とても感情的で,意志が強くて,好きなことに,好きな分だけ努力してる.好きな分しか努力しないから,時には無責任にも映ったが,素直すぎてかっこ良かった.僕は恋に落ちる寸前だった.だから僕ももっと気楽にやりたいことやるかな〜っと思った.こんなに貴重なフォーラムに参加させてもらったのに,一番感じたことが「気楽に生きるかな〜」では若干申し訳ないのだが,きっと僕の人生にとって,重要なターニングポイントだったと思う.

ステラに行ってよかった.今年は大学院の出願で大忙しなので,全然関われていないが,来年以降はスタッフとかやってみたいなーと思う.もっともっと色々得られる気がする.

ステラの感想はこんなところかな.すばらしい経験だった.
ありがとうステラ.また今度,君に会いたい.

STeLA, 君が教えてくれたこと

5 thoughts on “STeLA, 君が教えてくれたこと

  1. うわ、なんでか佐藤さんって書いてました(^^;)
    初コメントでめっちゃ失礼しました。
    お許し下さい
    m(__)mm(__)mm(__)m

    1. コメントありがとうございます.中村です(笑)
      ”立派に”活躍してるかは分かりませんが,そう言って頂けるととても嬉しいです.しばらく放置してしまってますが,今月中に1度更新の予定です.また読んで下さい!

  2. 佐藤さんこんにちは!
    娘と二人で「いいね!いい人生だよ!」と
    ふと思い出した時に使っています。

    今日その「ふと」があった時、
    鳥人間の彼は今どうしているのかなー?
    と思いgoogle検索していたらこちらに辿り着きました。

    とても立派に活躍されているのですね。びっくりでした!
    blogは最近更新されていない様ですが、ぜひぜひ更新して下さい。

    また拝見しに来させていただければと思います。(^^)

  3. 更新とても楽しみにしています。
    Takumaさんの書くdiaryはすばらしいです。
    何気ない出来事でもなんでもいいので、もっと更新してほしいです。

    1. ありがとうございます.とても嬉しいです.では,もうちょっと頑張ってみようと思います!今後も読んであげて下さい.

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